大藤信郎賞受賞短編アニメ全集

大藤信郎 (1900-1961)

大藤信郎像

1900年(明治33)6月浅草生まれ。18歳でアニメーションの道に入り1926年に千代紙による短編で注目され、海外にも紹介される。生涯独力で切り絵や影絵による独特の作品を作り続け、日本のアニメ史に大きな足跡をのこした。
1924年(大正13)、25歳のとき「花見酒」ほかでアニメーション界に名のりをあげ、1927年(昭和2)千代紙映画社を創立。以後千代紙映画、漫画、影絵を研究、アニメーション映画の功労者として日本映画史に輝かしい一ページを残した。1959年(昭和34)文化功労賞を受賞。
1961年(昭和36)7月「ガリバー旅行記」完成と同時に死去。1961年、第16回毎日映画コンクールで同氏の功績がたたえられ、特別賞を贈られる。

 

くじら

「くじら」 作:大藤信郎/1953年/10分/カラーセロファン/影絵アニメーション
1953年カンヌ映画祭でアルベール・ラモリス監督作品「白い馬」に次ぎ短編部門第2位に入賞。これを観たピカソとコクトーが絶賛したというエピソードをもつ。

〔あらすじ〕 むかし、ある嵐の日、一艘の旅船が難破する。イカダの上に生き残ったのは、三人の男と一人の女。男たちは欲望の命ずるまま、その女の奪い合いを始める。その時、一匹の大くじらが現れ、四人を一飲みにしてしまう。くじらの腹の中では助けられたい一心で女への欲望を忘れていた男たちは、女とともにくじらの背に潮によって噴き上げられると、再び女を争い始める。そのとき、くじらの大きな尾が、三人の男たちを海へ叩き落した。
永い年月が経って、月明かりの下、北海の涯に泳ぐ くじらのヒレのかげに小さな人魚が一匹たわむれていた。これがあの時の女であったとか・・・・・。

 

幽霊船

「幽霊船」
作:大藤信郎/音楽:平井康三郎/1956年/11分/カラーセロファン/影絵アニメーション
1956年 ベネチア映画祭特別賞 受賞。造形・色彩・音楽に一層の洗練を加えた、大藤芸術の到達点。

〔あらすじ〕 むかし、東洋の黄色い波の漂う海でのできごと。この海を荒らしまわる海賊船が、優雅に海に遊んでいた貴族の船を襲う。海賊たちは、女や財宝を奪い、男たちを皆殺しにした。わけても美しい姫を守るため最後まで勇敢に闘った若い貴族と姫の最期は哀れだった。時を経て、再び海賊船がこの海にめぐり来ると、あの貴族の幽霊船が現れ、亡霊たちが海賊船に乗りうつってくる。海賊たちは、この亡霊になやまされ、終には同士討ちとなり、みな斬り死してしまった。

いまは、もう生きるもののいない海賊船は、風の間に間に漂っているのだった。

「くじら」「幽霊船」の2作品については、当連盟がご遺族からの委託を受け、オリジナル・ネガ、および著作権を管理しております。

なお1962年、氏の偉業を記念して毎日映画コンクールに「大藤信郎賞」が設けられ、アニメーション映画の製作領域で、その年度内に特に成果をあげたと思われる個人またはグループに贈られることになり、今日まで継続されている。

毎日映画コンクール大藤信郎賞(記念杯:山脇洋二 作)

実験的で個性的かつ芸術的なアニメーションに対して贈られる賞

日本を代表するアニメーション作家の精華がここにある。

『毎日映画コンクール大藤信郎賞受賞短編アニメーション全集』1962~1997年 全30作品/DVD8枚組セット/合計483分

DVD

日本の芸術短編アニメ―ションをほぼ時代順にたどれる、貴重でたのしい作品集。

企画:映像文化製作者連盟

発売:IMAGICA

販売:紀伊國屋書店

 

尚、上記アニメーション全集はすでに販売を終了いたしました。